大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

静岡地方裁判所 昭和40年(む)87号 判決 1965年5月09日

被疑者 西尾一雄

決  定

(被疑者氏名略)

右の者に対する自転車競技法違反被疑事件につき昭和四〇年五月八日当裁判所裁判官山本一郎がした勾留請求却下の裁判に対し検察官から準抗告の申立があつたので、当裁判所は次のとおり決定する。

主文

本件準抗告の申立を棄却する。

理由

一、本件準抗告申立の理由は、別紙記載のとおりである。所論は要するに、被疑者が本件勾留請求の被疑事実を犯したことを疑うに足りる相当な理由があるのにもかかわらず、その理由が充分でないとしてこれを却下したのは、違法である、というのである。

二、よつて検討するに、一件記録、ことに所論引用の各証拠によれば、被疑者において木元三郎こと李赫柱が本件自転車競技法違反罪を犯すに際し、その金員の授受等犯罪の実行を容易ならしめて幇助した事実が認められないではないが、本件勾留請求の理由とする被疑事実のように被疑者が単独で犯罪の実行におよんだことを疑うに足りる相当な理由を認めることができない。

三、したがつて、幇助の罪を勾留請求の被疑事実としていない本件勾留請求を却下した措置は正当であるというべきである。

よつて、検察官の本件準抗告の申立はその理由がないから、刑事訴訟法第四三二条、第四二六条第一項によりこれを棄却することとし、主文のとおり決定する。

(裁判官 石見勝四 高井吉夫 吉川義春)

(別紙 略)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例